【シネマ歌舞伎】沓手鳥孤城落月/楊貴妃|坂東玉三郎の凄み

 

こんにちは、パープルです。

 

少し前にシネマ歌舞伎で『沓手鳥孤城落月』『楊貴妃』の2作が上映されていたので観てきました。

 

どちらも時の権力者の中で悲劇の最後を遂げた女性の話です。

 

玉三郎さんの迫力が凄かった。

 

沓手鳥孤城落月|坂東玉三郎が演じる無念と愛

『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』で、

主役の坂東玉三郎さんが勤める『淀の方』は豊臣秀吉の側室です。

 

出展:歌舞伎美人

 

そして秀吉との間にできた息子で、豊臣家最後の当主、豊臣秀頼の母でもあります。

 

この作品は、そんな淀の方と秀頼が、徳川家康の勢力に攻められた大坂の陣にて没落していく場面を描いています。

 

 

玉三郎さんが演じる淀の方は、登場の時点でほぼ正気を失っているものと私は思いました。

 

城から逃げようとする秀頼の妻、

徳川家康の孫でもある千姫を引き留めるその姿は、

判断力こそ失っていないものの、

強い感情に支配されてしまっているように見えます。

 

豊臣秀吉が亡きあとは、

淀の方が秀頼の後見人として政治を行ったとのことですから、

それだけ豊臣家を守るという思いは人一倍強かったのでしょう。

 

そして元々気鬱も患っていたそうですから、

そこに強い思いも相まって感情がこじれてしまい、

すでに正気を失っていたものと私は思います。

 

ただし、これは作品の話なので、史実はどうかは分かりませんが。

 

 

そんな気の触れた女を玉三郎さんは演じたわけですが、その姿の迫力と言ったら凄かった。

 

長い黒髪に美しい着物。

それでいて表情や目はふれてしまっている。

 

そして舞台セットも乱戦の状況を表しているから、余計に迫力が伝わってきました。

 

美しい舞を踊る玉三郎さんは素敵ですが、こういう玉三郎さんも素敵だなぁと作品にふさわしくない思いを抱いてしまいました。笑

 

 

そんな淀の方は、後半ではほぼ精神錯乱状態となり、うめき声を上げながら寝込んでしまっています。

 

そしてそんな母の様子を見た秀頼は、悲痛な思いから母を殺して自らも自害しようとする。

 

そこでは思い留まったのですが、淀の方は少し意識を取り戻し、秀頼の側で涙を流す。

 

その最後の場面が、この作品が最も伝えたいテーマである、『乱戦の混乱の中でも貫かれる母子の愛』なのだと思いました。

 

 

戦に負け、豊臣家を滅亡させてしまうことは、2人にとってさぞ無念なことだったでしょうね。

 

特に淀の君は秀吉存命の頃から政治を見てきたし、人生のほとんどを豊臣家に捧げてきたのでしょうから、余計に口惜しかったはずです。

 

なんだか非常に重たい話ですね。

 

現代のように選挙で負けて与党から野党に落ちるなんて平和的な話じゃないですから。

 

命も失うし、家系も失うし、現代の日本では考えられないような話です。

 

 

そんな中でも、現代も変わらない普遍的な親子の愛。

 

でも親子という関係が主張されている作品だからこそ、この豊臣家の没落というのが余計に重苦しく感じました。

 

まさに栄枯盛衰です。

 

 

この作品、当然舞台で行われた芝居を撮影した作品になっているんですが、

やはりシネマ歌舞伎ともなると、とても映画的な作品になっているなと思いました。

 

画面に映る映像や音響とか、

映画だと観るポイントが作り手によって定められているので、

感情移入しやすい状態になっていると思います。

 

この作品、舞台だとまた全然違う感覚だと思うし、

映画版も臨場感はあって良かったけど、

でもきっと舞台の方がよりその場にいる雰囲気にはなったでしょうね。

 

火の手が上がってきた城の緊迫感や臨場感を生で体験してみたかったですね〜。

 

 

余談というか書いておかなきゃいけないのが、中村七之助さんの秀頼が美しくかっこよかった。笑

 

七之助さんは立役もステキですね。^^

 

楊貴妃|美しい舞が魅せる幻想的作品

『沓手鳥孤城落月』とは打って変わり、『楊貴妃』はとても美しい舞踊作品。

 

出典:歌舞伎美人

 

とはいえ、楊貴妃もやはり最後は非業の死を遂げた人。

 

楊貴妃がとても美しい女性というのは有名ですが、

それゆえに時の皇帝に愛されすぎて城を傾け、

国を混乱させたと兵士たち軍隊に責められ、

やむなく自殺を命じられてしまいました。

 

存命中は彼女には贅の限りが尽くされたそうですから、

なんだかその生涯はマリー・アントワネットに似ていますね。

 

 

坂東玉三郎さんが踊りを舞うこの作品は美しい物語ですが、

人生最期を見てみると、楊貴妃も淀の方と同じように、

時代と権力に翻弄されて死んでいった女性だったんです。

 

 

この作品『楊貴妃』は、その楊貴妃が亡くなった後の物語です。

 

亡くなっても楊貴妃が恋しい皇帝は、

市川中車さん演じる方士に楊貴妃の魂を呼び出させ、

楊貴妃は皇帝との愛を誓い合った日々を思い返しながら舞います。

 

玉三郎さんの楊貴妃の美しさや、映像の見せ方などもあって、とても幻想的な作品に仕上がっていました。

 

生身の楊貴妃ではなく、あくまで彼女の魂であること。

 

そこを明確に意識して作っているんだろうなと思いました。

 

 

先ほども栄枯盛衰と言いましたが、楊貴妃もまさにそれで、栄えるものは必ず衰える。

 

大きな権力を持っていた人ほど、没落した話はドラマになるなぁと思います。

 

きっと当時は勝った権力者の目もあるから、負けた人々を讃える作品なんて絶対に作れなかったはずです。

 

でも長い時が経つと、

豊臣家然り、楊貴妃然り、マリー・アントワネット然り、

こうやって負けた側の人々が作品になって人々を楽しませてくれるんですから、

そうなると栄枯盛衰というのも一つの世の味わいのようにも思えてきます。

 

人間の歴史って面白いですね。

 

 

舞踊の所作がどうとか細かいことは私には分かりませんが、でも美しい舞いであることは十分に伝わりました。

 

『沓手鳥孤城落月』の後の重たい気持ちを、柔らかく消化させてくれた作品でした。^^

 

最後に

というわけで今回はシネマ歌舞伎の『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』について感想を書いてきました。

 

やっぱり玉三郎さんはいい。

本当にステキ。

過去の作品全部観たいくらい。

 

全部DVDにならないかなと期待しているんですが、ならないでしょうか。笑

 

熱望しているので、松竹さんにはぜひ頑張っていただきたいです。笑

 

以上、ありがとうございました。^^

 

 

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