【シネマ歌舞伎】鷺娘/日高川入相花王|坂東玉三郎の美の真骨頂

 

こんにちは、パープルです。

 

少し前になりますが、シネマ歌舞伎で坂東玉三郎さん主演の『鷺娘』『日高川入相花王』が上映されていました。

 

とにかく美しいし、物語の筋も素晴らしいし、両方合わせて1時間という短い上映時間でしたが、圧倒的に美が濃密された1時間でした。

 

日高川入相花王|嫉妬と恨みに狂う女の蛇

『生霊』という言葉がありますよね。

 

現象とでも言うんでしょうか、生きている人間の霊魂が抜け出て、動き回ることを言います。

 

対義語に『死霊』というのがありますが、

こちらは死者の霊で幽霊のことだからまだ分かりやすいですが、

生霊というのは生きている人間の霊魂が抜け出ることを指すので、

ちょっと捉えにくい感覚だったりします。

 

 

でも、ちょっとしたスピリチュアル話などを聞いていると、生霊というのは結構常識だったりもします。

 

生きている人間の強い感情が『生霊』になり誰か特定の相手に取り憑く、みたいな。

 

なんだかゾッとするような話ですが、まあこういうこともあるそうです。

 

 

私はスピリチュアルの専門家ではないので詳しくは分かりませんが、

でも生霊を出す(っていう表現でいいのかな)人って意識的にやっているのか、

それとも無意識にやってしまっているのか、

それは定かではありませんが、

とにかくあまり悪しき感情が強すぎると生霊現象を起こすそうです。

 

 

というわけで今回の作品『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)』も、

伝統芸能の名作『道成寺』を元にした生霊(というのかな)と化した女の話です。

 

 

この作品、とても素晴らしかった!

 

道成寺の物語って本では読んだことあるものの、芝居で観たことは一度もなかったので、舞台上の演出や展開にはとても感動しました。

 

「素晴らしいなぁ…」と唸ること度々。

 

 

人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊化した作品とあって、坂東玉三郎さんが演じる清姫は人形の役。

それに人形遣いまで登場させる趣向のおもしろさ。

 

こういうシャレた趣向が歌舞伎の面白味だなとしみじみ思います。

 

 

で、その清姫が恋する安珍という僧を追って川の渡し場に着くのですが、船頭は船に乗せてくれない。

 

そこで安珍への嫉妬や恨みなどの燃えたぎるような感情が、ついに清姫を蛇身に変化させてしまいます。

 

 

その時の演出が、まさに美しい恐怖。

 

蛇身と化した清姫が川を自力で渡っていく様子を、清姫自身の感情をかいま見せながら展開させていきます。

 

あの場面は本当に素晴らしかった。。。

 

それまでの場面が暗く怪しく静かな空気だったので、その静かな均衡がぐわーっと弾けた感じ。

 

玉三郎さんの美しさと迫力に私は鳥肌が立ったよ…。

 

 

道成寺という古典作品の題材にもなった清姫伝説はとても有名な話なので知っている人も多いのでは。

 

美しい僧の安珍は、熊野参拝の際に出会った清姫に惚れられたが無視して帰ってしまう。

騙された清姫は怒り、安珍の後を追い、嫉妬と恨みから蛇に変化し、安珍を焼き殺す。

 

という恐ろしい話。

 

この話の筋はいくつかあって、それぞれ展開や結末が少し違うのだけど、『日高川入相花王』は上記の話の途中にある日高川での場面を描いたものです。

 

 

嫉妬と恨みで蛇に変化してしまうほど強い感情を抱いていた清姫ですが、

これってつまり生霊なんじゃないかなと私は思うんですけど、どう思いますか?

 

蛇というのは例えであっても、恐ろしい執着心を相手に持つ人は現代だって女性に限らず男性にだっていますよね。

 

嫉妬や恨みが原因の犯罪もいくらでもあるし、ああいうのだって実際見えていないだけで、きっと犯人は生霊と化していると思うんです。(そう考えると余計に怖い)

 

 

嫉妬、恨み、執着心。

 

こういう負の感情から起きる男女の問題って、きっと人間がいる以上どんな時代でも普遍的にあるものでしょう。

 

もしかしたらこの清姫伝説も、実際にあった事件なのかどうかは分かりませんが、そういった普遍的な問題だから生まれた話なのかもしれないですね。

 

 

でも実際、恨みや嫉妬を持たれて執着されている人からすると、相手は恐ろしい蛇にも見えますよね。

だって怖いし。。。

 

でも、この話も現代的に仕立てるとよくあるホラー映画になりそうですが、古典作品ではそうなりません。

 

日本が持っている美の感性はとても素晴らしいです。

美しい無常観を作り出すセンスが日本にはあります。

 

現代のホラー映画はただただ怖いので私は観ませんが、古典作品では怖い話も美しく仕立てます。

 

だから本当に、日本人のセンスってとっても素晴らしいと思うんです。

海外とは全然違った日本独特の美ですよね。

 

 

私、この『日高川入相花王』を観て、伝統芸能って本当に素晴らしいなぁと改めて思いました。

 

なぜこの作品でそう思ったのかは自分でもよく分からないのですが、なぜかそう強く思ったんですよね。

 

日本だけじゃないです。

世界中にまだ自分が知らない伝統芸能ってたくさんありますよね。

 

そういった伝統芸能に、自分が生きている間、たくさん触れていきたいなぁと、この作品を観て思わせてもらいました。

 

きっとあまりにこの作品が素晴らしかったからではないかな。

 

観れて本当によかった。^^

 

 

ちなみに、悪しき感情が強すぎて生霊になるくらいなんだから、善き感情も強すぎれば善い生霊になるのでしょうか?

 

それだけ思う力が強いのであれば、善いことを思うようにすれば、きっとすごい善いエネルギーを相手にもたらすことができますよね。

 

あ、それが『愛』って言うのかもしれませんね。

愛で守る。愛で守られてる。と言う感覚。

 

どうせ思うんだったら、善い生霊を生み出したいものです。^^

 

鷺娘|日本の美的感覚は日本の誇り

『日高川入相花王』が人間が蛇に変化する話なら、こちらの『鷺娘』は白鷺が人間に変化する話。

 

言わずと知れた坂東玉三郎さんの代表作の一つで、もうとにかく美しい作品。

 

 

世界中で大絶賛を浴びたというのも非常に納得がいきます。

 

外国人はこの日本の繊細な美を観て、日本にいたく感動したはず。

 

 

恋をしてしまった娘は実は白鷺の精で、叶わぬ恋に苦しみもがき、降りしきる雪の中で息絶えていく。

 

その様子を、玉三郎さんが見事な舞踊で表現していきます。

 

 

最後の息絶える場面なんて特に秀逸。

 

最後の最後まで白鷺であることをしっかり魅せてくれます。

 

ゾクゾクするほど美しかった。

 

 

細かい所作の部分については私はよく分かりませんが、美しさをしっかり感じられるだけで今のところは十分ではないかなと思ってるんです。

 

おいおい細かい部分についても学んでいきたいですけどね。

 

こういった日本の美が取り入れられた作品というのは、本当に日本の誇りだと思います。^^

 

 

私は歌舞伎を母国語でしっかり味わえる日本人で本当によかったと思うんです。

 

歌舞伎が日本の美の素晴らしさを私に教えてくれました。

 

 

『鷺娘』は玉三郎さんの踊りはもちろん、演出も非常に素晴らしく、何度でも観たい作品。

 

白鷺が人間になって恋をしてしまうなんて、この発想を聞いただけで切なく美しいです。

 

日本には鶴の恩返しとか、雪女などのように、動物や自然が変化した美しい話がたくさんありますよね。

 

そういった切なさや儚さ、無常観というのは、日本の美の1つのキーワードな気がします。

 

ありがとう日本。って感じです。^^

 

最後に

というわけで今回は、シネマ歌舞伎『鷺娘/日高川入相花王』について感想を書いてきました。

 

歌舞伎はもちろん、日本の伝統芸能や日本の美的感覚って本当に素晴らしいです。

 

それに気づいている日本人って実際とても少ないと思うんですけど、

ぜひたくさんの方々に触れて気づいてもらって、

その精神を持ってもらったらまた日本も変わってくるんじゃないかなって思うんです。

 

愛国心と言うような政治的な話ではなく、「日本ってステキだな」と思えること、それだけで気持ちも変わってくると思うんですけどね。

 

機会があれば、ぜひ今作も観てみてくださいね。

 

以上、ありがとうございました。^^

 

 

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